第七官界彷徨 尾崎翠を探して

浜野佐知監督作品

『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』映画概要

 恋愛に成功するのは、植物の蘚(こけ)だけ。人間はみな、片恋か失恋ばかりしている…こんな奇妙な小説「第七官界彷徨」を書いた尾崎翠は、一時忘れられた幻の作家でした。時は、翠が生まれて一世紀以上経った2004年。彼女の作品と人生をコラージュした、この映画の完成とシンクロするように、新たな再評価が、静かに、深く、インターナショナルに進行中です。カラー作品、108分、35ミリ&16ミリ、モノラル録音。

監督=浜野佐知/脚本=山崎邦紀/
撮影=田中譲二/照明=上妻敏厚/音楽=吉岡しげ美
キャスト=白石加代子/吉行和子/柳愛里/
原田大二郎/白川和子/宮下順子/横山通代/石川真希

●浜野佐知監督の著書『女が映画を作るとき』刊行!●

-平凡社から新書で05年 1月11日発売-

浜野佐知監督の初めての著書『女が映画を作るとき』が、1月11日に平凡社新書から発売されました。70年前後の疾風怒濤の時期に映画監督を志したもの の、大手5社の演出部の採用条件「大卒・男子」に阻まれ、ゲリラのピンク映画の業界に飛び込みます。

30年近くで300本超(推定)の作品を監督した後、自主製作に取り組んだ最初の作品が『第七官界彷徨‐尾崎翠を探して』(98年)でした。その後『百合祭』(01年)を製作・監督し、この2本の作品の上映運動の中で全国の女性センターなどで活動するアクティブな女性たちや、世界の女性映画祭と出会い、セ クシュアリティをテーマとするフェミニズムに雪崩れ込んでいきます。

本書では、そのプロセスが愉快なエピソードを通じて語られると同時に(特にかつてのピンク映画の世界は想像を絶するものがあります)フランス、イタリア、 ドイツなどヨーロッパの女性映画祭の主宰者たちが、90年以降のバックラッシュの中で何を考え、行動しているかインタビューしています。監督になりたいと いう夢だけ断たれたという東京国際女性映画祭の高野悦子プロデューサー(岩波ホール総支配人)のインタビューと併せて、貴重な資料となることでしょう。 そして最終章の「映画は男の世界か?」では、業界の男体質やセクハラへの無自覚を痛烈に批判していますが、果たしてこれに対するリアクションはあるので しょうか?

■平凡社新書
『女が映画を作るとき』
浜野佐知 著
・平凡社刊・定価777円・1月11日刊行
第一章 ピンク映画まっしぐら
第二章 『第七官界彷徨-尾崎翠を探して』
第三章 『百合祭』の長い旅
第四章 女性映画祭と共に~ヨーロッパの女性映画祭 の主宰者 インタビュー
第五章  「早く生まれ過ぎた世代」から~高野悦子さんに聞く
終 章 映画監督は男の世界か?



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『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』上映委員会
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